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【初心者向け】ラダーの基本「自己保持回路」とは?

fa-engineer

~シリンダー制御でやさしく解説~

ラダーを学ぶ上で最初に覚えておきたいのが、自己保持回路です。

名前の通り、「自分で自分を保持する仕組み」
一度ONになると、ボタンを離してもその状態をキープする回路のことを言います。

🔧 自己保持の基本構成とは?

ラダー図で表すと、こんな動作になります。

  • MR000(入力A)がONすると ⇒ MR100(出力A)がON
  • MR100がONしたことで、入力側の自己保持用接点もONになる
  • この状態でMR000をOFFしてもMR100はONのまま!
  • MR001(入力B)がONすることでB接点がOFFになりMR100がOFFになる

このように、一度出力がONになると、別の信号が来るまで保持される仕組みが自己保持回路です。

💡 実際のラダー動作の流れ

MR000をONにするとMR100がONになります。

その後MR000をOFFにしてもMR100は保持されてONのまま残る。

そしてMR001をONするとMR100はOFFになります。

🚀 実践例:シリンダー制御で自己保持回路を使ってみよう!

では、実際の設備制御でどう使われるのか?
ここでは、単動シリンダーを一定時間だけ動作させる回路を組んでみます。

✅ 要求仕様:

  • 起動ボタンを押すとシリンダーを前進(ON)
  • 一定時間後、自動でOFFになりシリンダーが戻る

【出力がOFF状態のイメージ図】(シリンダーが戻っている)

【出力がON状態のイメージ図】(出力が伸びている)

🧩 回路の動作ステップ解説

1,MR100(シリンダー起動)をON
 ⇒MR000(シリンダー前進)がON
※自己保持回路により、MR000はMR001(シリンダー動作完了)がONするまでONし続けます。

1,MR100(シリンダー起動)をON
 ⇒MR000(シリンダー前進)がON
※自己保持回路により、MR000はMR001(シリンダー動作完了)がONするまでONし続けます。

1,MR100(シリンダー起動)をON
 ⇒MR000(シリンダー前進)がON
※自己保持回路により、MR000はMR001(シリンダー動作完了)がONするまでONし続けます。

2,MR000によりR35000(シリンダー前進 出力)がONになることで
 シリンダーが前進し始めます。

3, シリンダーが前進しきると前進端のオートスイッチ(AS)がON ⇒ R34000がON

4,R34000のONによりMR200がON
 ⇒これによりONディレイ(ONDL)タイマーが起動

5,1秒後(#100)にMR500がON
⇒MR500のONにより、MR001がONになる

6, MR001のONにより自己保持回路が切れてMR000がOFFになります。
 ⇒これによりシリンダー出力もOFFとなりシリンダーが戻る

✅ 自己保持のポイントまとめ:

実設備では、ピック&プレース・プレス機構などで頻繁に使われる

一度ONにした出力を、条件が変わるまで保持できる

動作完了やセンサ入力と組み合わせて、自動OFFやタイマー制御が可能

🔄 次回予告

次回は、自己保持回路とよく似た動作ができる「SET/RESET命令」について解説します。
自己保持との違いと使い分けを、実際のラダー図とともにご紹介します!

ABOUT ME
Yu
Yu
設備エンジニア(フリーランス)
生産技術の現場で10年以上の経験を持ち、制御設計を中心に生産設備の開発全般に携わってきました。 特に、産業用ロボットを活用した自動化設備の開発を得意としており、機械・電気・制御の知識を横断的に活かして業務に取り組んでいます。 近年では、PLCと連携したIoTシステムの構築にも注力しており、PythonやSQL Serverなどを活用したデータ収集・可視化・分析の仕組みづくりにも対応しています。 現場のリアルな課題を解決するための実践的なノウハウを発信していきます。
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