初心者向け

【図解で解説】測定結果の可視化方法|PLC+タッチパネルでトレンドグラフを表示する手順

fa-engineer

製品品質を維持・向上させるために、各種センサーや検査機器を使った測定データの収集は、製造現場において欠かせない工程です。

しかし、ある日突然、検査NGの急増により、現場への緊急対応が必要になることも珍しくありません。

そんなとき、直近の測定結果がグラフで可視化されていれば、現場ですぐに状況を把握し、早期対応につなげることができます。

なぜグラフ表示が重要なのか?

測定値を一覧で見ても、異常傾向をすぐに発見するのは難しいですよね。

ですが、グラフ表示を行えば、以下のようなメリットがあります:

  • 測定結果の傾向変化を視覚的に把握できる
  • 異常値の発生タイミングが一目瞭然
  • 現場対応が迅速化し、再発防止にもつながる

以下のようなイメージです。

測定データをグラフ化する仕組み|PLC+タッチパネル構成

ここでは、PLC(ラダー制御)とタッチパネル(VTS/VT STUDIO)を使ってリアルタイムトレンドグラフを表示する方法を解説します。

① PLC(ラダー側)の処理内容

使用するデバイス:

  • MR100:検査完了信号(立ち上がり検出用)
  • DM100:測定デバイスの測定値
  • DM200:グラフ表示用のデータ格納エリア

処理内容:

MR100が立ち上がったタイミングで、DM100の値をDM200へMOV命令で転送。

② タッチパネル側でトレンドグラフを設定

ステップ1:トレンドグラフの配置

  1. グラフを追加したい画面を選択
  2. 画面右下の「トレンドグラフ」を選択
  3. 画面上に追加したグラフをダブルクリックして設定画面を開く

ステップ2:トレンドグラフの基本設定

項目内容
グラフの種類リアルタイム更新
グラフ本数表示したい数だけ(1本でも可)
表示データ数グラフ内のデータ点数(最大900点)
トレンドIDIDごとにデバイス紐付け
データ長1ワード or 2ワード
データ形式符号あり/符号なしバイナリ、BCDなど
表示方法ノーマル推奨(レコーダ形式も可)

ステップ3:トレンドIDごとのデバイス設定

  1. 「デバイス設定」ボタンをクリック
  2. トレンドID別の設定画面へ移行
  3. 以下の内容を設定
項目設定例
データ取得モード通常
トレンド本数1(複数グラフで色分け可)
サンプルデバイスDM200※測定値が格納されるデバイスを指定
データ長測定データの形式に応じて
サンプリング周期内部タイマ or ビットデバイスで制御

グラフ完成イメージと応用例

以上の設定で、以下のようなトレンドグラフをリアルタイムに表示できます。

★完成イメージ

このトレンドグラフは最大で直近900個の測定データを表示できるため、急な傾向変化も見逃しません。

まとめ|測定データの見える化で現場対応力を高める

本記事で紹介したように、PLC+タッチパネルを使えば、現場で簡単にリアルタイムグラフ表示が実現可能です。

  • データ傾向の早期発見
  • 異常への素早い対処
  • 品質改善へのフィードバック

現場の見える化ツールとして、ぜひグラフ表示を取り入れてみてください。


次回予告

次回は、今回のリアルタイム表示をさらに進化させ、測定履歴をPLCに残しつつ過去データと組み合わせてグラフ化する方法を解説します!

ABOUT ME
Yu
Yu
設備エンジニア(フリーランス)
生産技術の現場で10年以上の経験を持ち、制御設計を中心に生産設備の開発全般に携わってきました。 特に、産業用ロボットを活用した自動化設備の開発を得意としており、機械・電気・制御の知識を横断的に活かして業務に取り組んでいます。 近年では、PLCと連携したIoTシステムの構築にも注力しており、PythonやSQL Serverなどを活用したデータ収集・可視化・分析の仕組みづくりにも対応しています。 現場のリアルな課題を解決するための実践的なノウハウを発信していきます。
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