設備の稼働率改善が進まない3つの理由|稼働監視・集中監視で変わること

稼働率の改善が進まない3つの理由(原因の特定・正確な情報・優先順位)と稼働監視の画面イメージ
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この記事でわかること

  • 稼働率の改善が思うように進まない、3つの理由
  • 稼働監視・集中監視を入れると、その3つがどう変わるか
  • 大きな投資をせずに、小さく始める考え方

はじめに

設備の稼働率を上げたい。そう考えて改善に取り組んでも、なかなか前に進まないことがあります。

  • 稼働率が下がった原因を特定するのに、時間がかかる
  • 現場の作業者から、正確な情報が集まらない
  • 改善したい項目は分かっているのに、どれから着手すべきか決められない

この3つに心当たりがある方に向けて、設備の稼働監視・集中監視で何が変わるのかを整理します。

稼働率の改善が進まない3つの理由

理由1:原因の特定に時間がかかる

「先月より稼働率が落ちている。原因を調べてほしい」

こう言われてから、原因にたどり着くまでには、いくつもの作業があります。

作業時間がかかる理由
データを集めて回る設備ごとにタッチパネルの履歴を見に行き、日報を集める
作業者に聞き取りをする何が起きていたかを、現場で一人ずつ聞いて回る
複数のデータを突き合わせるタッチパネルの履歴、日報、生産数をExcelなどで照らし合わせる
現場で観察する現象が再現するまで、設備の前で見ている

稼働率を上げるために必要なのは、原因を突き止めて対策を打つことです。ところが実際には、その手前の「事実を集める」作業に多くの時間と工数を取られ、対策にたどり着くまでが長くなっています。

原因にたどり着くまでの作業の流れ。データを集めて回る、作業者に聞き取り、複数のデータを突き合わせ、現場で観察する、を経て、ようやく原因を突き止めて対策を打てる

理由2:現場から正確な情報が集まらない

作業者に聞き取りをしたり、日報を見たりしても、次のようなことが起こります。

  • 停止の理由が「調整」「トラブル対応」のように、あいまいに書かれている
  • 同じ現象でも、人によって書き方や呼び方が違う
  • その場では書かず、後からまとめて記憶で書くので、時刻や回数が不正確になる

作業者に落ち度があるわけではありません。生産を止めないことが第一の仕事なので、記録が後回しになるのは自然なことです。人の記録に頼る方法そのものに、限界があります。

理由3:改善項目は分かるが、優先順位を決められない

「この異常がよく出ている」「あの工程でよく止まる」。改善したい項目は、現場にいればだいたい分かります。タッチパネルにも異常の履歴は残っています。

難しいのは、どれから手を付けるかです。

タッチパネルの履歴で分かるのは、主に「どの異常が、いつ出たか」です。それぞれの異常で合計どれだけ止まっていたのか、稼働率をどれだけ下げているのかまでは、すぐには分かりません。しかも、履歴を見るには設備1台ずつ、タッチパネルの前まで行く必要があります。

タッチパネルの異常履歴のイメージ。どの異常がいつ出たかは分かるが、合計で何分止まっていたか、稼働率をどれだけ下げているかは分かりにくい

回数が多い異常と、1回が長い異常。どちらの影響が大きいかは、止まっていた時間を合計して、初めて比べられます。その数字がないと、印象に残った出来事や、声の大きい意見から順に対策することになります。

稼働監視で、3つの悩みがどう変わるか

稼働監視は、設備のPLCが持っている情報を自動で集めて、1か所で見られるようにする仕組みです。

原因の特定:事実を集める時間がなくなる

  • 稼働率、停止時間、異常の履歴が、自動で1か所に集まる
  • 設備ごとにタッチパネルを見に行ったり、日報を集めたりする必要がなくなる
  • 稼働状況を帯のグラフ(ガントチャート)で見られるので、「いつ・どのくらい止まっていたか」がすぐ分かる
設備詳細の画面の下半分。生産時間の内訳、異常の履歴、異常ごとの集計、稼働状況のガントチャートが1つの画面に並んでいる
設備詳細の画面(下半分)。上から、生産時間の内訳と異常の履歴、異常ごとの集計、稼働状況のガントチャート。デモ画面の例です(表示しているのは説明用のデータです)

データを集める作業と、突き合わせる作業が、ほぼなくなります。現場での観察も、「いつ、どの異常のときに見ればよいか」の当たりを付けてから行けるので、張り付いている時間を減らせます。

ただし、稼働監視が教えてくれるのは「どの異常で、いつ、どれだけ止まったか」までです。なぜその異常が出るのかという真の原因は、今までどおり現場で確かめる必要があります。調べる範囲を早く絞り込める、というのが正確なところです。

情報の精度:自動で取得するから、抜け漏れなく正確に残る

停止の時間や異常の種類は、設備のPLCから自動で取得します。人が記録する工程がなくなるので、同じ基準のデータが、抜け漏れなく残ります。

  • 書く人によって表現が変わることがない
  • 忙しいときも、記録が抜けない
  • 後から思い出して書く必要がない
人が書く記録と自動で取得するデータの比較。日報は人によって書き方がばらつくが、自動で取得したデータは発生時刻、名称、停止時間が同じ基準で残る

作業者への聞き取りは、「何時ごろ、何回止まりましたか」という事実の確認ではなく、「そのとき、ワークはどんな状態でしたか」といった、人にしか分からないことに絞れます。

優先順位:ロスを時間で並べて比べられる

稼働監視では、止まっていた時間を種類ごとに合計します。たとえば、ある設備の1日のロスが次のようだったとします(説明のための例です)。

ロスの種類回数合計時間
通常停止(段取りなど)2回20分
ドカ停(長い停止)1回15分
チョコ停(短い停止)40回20分
速度の低下(遅く動いていた分)—約17分
不良品を作っていた時間—8分

実際の画面では、次のように棒グラフで並びます。

生産時間の内訳の画面。通常停止20分、ドカ停15分、チョコ停20分、速度低下相当16.67分、不良品相当8分、良品相当400.33分が棒グラフで並んでいる
生産時間の内訳。ロスの種類ごとに、合計時間が棒グラフで並びます。デモ画面の例です(表示しているのは説明用のデータです)

印象に残るのは、設備が15分止まったドカ停です。ところが合計時間で見ると、1回30秒のチョコ停のほうが大きい。これが1か月(20日稼働)続けば、チョコ停だけで約7時間になります。さらに、止まってはいないものの、本来より遅く動いていた分が約17分あることも分かります。

異常の名前ごとの集計も、同じ画面に並びます。

アラーム集計の画面。ワーク在荷検知異常は28回で停止合計14分、位置決めサイクルオーバーは12回で6分、シリンダー出端サイクルオーバーは1回で15分と、異常ごとに発生回数と時間の合計が並んでいる
異常ごとの集計。発生回数と、止まっていた時間の合計が並びます。デモ画面の例です(表示しているのは説明用のデータです)

この例では、チョコ停の20分のうち14分が「ワーク在荷検知異常」です。1回は30秒でも、28回で14分。1回だけのドカ停(15分)と、ほぼ同じ時間を失っています。タッチパネルの履歴では分かりにくかった「それぞれの異常で、合計どれだけ止まっていたのか」が、そのまま数字で出ます。

稼働率(OEE:設備総合効率)も、「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の3つに分けて表示されます。

設備総合効率の画面。OEE 83.4%の内訳として、時間稼働率92.7%、性能稼働率91.8%、良品率98.0%が並んでいる
稼働率(OEE)を3つに分けた表示。デモ画面の例です(表示しているのは説明用のデータです)

止まっている時間が長いのか、遅いのか、不良が多いのか。どこで落ちているかが分かれば、打つべき手の種類が決まります。この例では、3つのうち性能稼働率が一番低く、チョコ停と速度の低下が効いていることが読み取れます。

集中監視のメリット:複数の設備を1画面で見る

設備ごとの数字を、1つの画面に並べて見られるようにするのが集中監視です。

設備一覧の画面。組立設備1と2は自動運転中、組立設備3は異常停止と表示され、それぞれの稼働率・良品数・不良率・サイクルタイムが並んでいる
設備一覧の画面。止まっている設備(右)が一目で分かります。デモ画面の例です(表示しているのは説明用のデータです)
  • 設備を1台ずつ見に行かなくてよい
    どの設備が動いていて、どの設備が止まっているかが、事務所のパソコンで分かります。
  • 止まっている設備にすぐ気づける
    異常で止まった設備が、画面上ですぐ分かります。

データがたまると、できること

対策の効果を確かめられる

センサーの位置を調整した。部品の供給方法を変えた。その結果、停止は本当に減ったのか。

対策の前と後を同じ物差しで比べられるので、数字で効果を確認できます。効果がなければ、すぐ次の手に移れます。

過去の記録をすぐ探せる

「あの品番を作ったときの不良率は?」「先月のこの設備の稼働率は?」

記録が自動で残っていれば、設備・日付・品番で検索するだけです。

よくある心配ごと

大掛かりな投資が必要なのでは?

全部の設備を一度に対象にする必要はありません。まず1台だけ、困っている設備から始められます。効果が見えてから台数を増やすほうが、社内の説明もしやすくなります。

データを社外に出したくない

稼働監視はクラウドが必須ではありません。社内のパソコンにデータを保存し、社内のネットワークだけで見る構成にできます。

現場の入力作業が増えるのでは?

データは設備のPLCから自動で集めるので、作業者が何かを入力する必要はありません。むしろ、記録や集計の負担を減らせます。

まとめ

稼働率の改善が進まない理由は、次の3つでした。

悩み稼働監視で変わること
原因の特定に時間がかかる事実が自動で1か所に集まり、調べる範囲を早く絞り込める
現場から正確な情報が集まらないPLCから自動で取得するので、抜け漏れなく正確なデータが残る
優先順位を決められないロスを合計時間で並べて、効果の大きい順に着手できる

稼働監視は、原因を自動で教えてくれる仕組みではありません。事実を確認する時間を減らし、稼働率を上げるまでにかかる時間と工数を短くするための仕組みです。

導入前は事実を集める作業に時間がかかり稼働率向上までが長いが、導入後は事実の確認が短くなり、稼働率向上までの時間と工数が短くなる、というイメージ

次に読む記事・デモ動画

実際にどんな画面になり、どういう仕組みで動いているのかは、次の記事で解説しています。

▶ キーエンスPLCで設備稼働監視システムを作る|OEE・チョコ停・ドカ停を自動集計【デモ動画あり】

3分のデモ動画もあります。

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ABOUT ME
Yu
Yu
設備エンジニア(フリーランス)
生産技術の現場で10年以上の経験を持ち、制御設計を中心に生産設備の開発全般に携わってきました。 特に、産業用ロボットを活用した自動化設備の開発を得意としており、機械・電気・制御の知識を横断的に活かして業務に取り組んでいます。 近年では、PLCと連携したIoTシステムの構築にも注力しており、PythonやSQL Serverなどを活用したデータ収集・可視化・分析の仕組みづくりにも対応しています。 現場のリアルな課題を解決するための実践的なノウハウを発信していきます。
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